2016年6月にタイのSchart先生の招きで、MICSの講演と翌日内視鏡下僧帽弁形成のライブ手術をしました。3Dプロジェクターを会場にカールストルツ代理店の方が準備して下さり、世界初?3D内視鏡ライブ手術が実現しました。患者さんは20代の女性で感染性心内膜炎後でした。前尖の半分の腱索が消失しており、ゴアテックス人工腱索を3本再建してリングを付けるという普通の形成で上手くいきました。しかし、会場と英語でやりとりしながら慣れない環境でする手術はだいぶ堪えました。殆ど、能力の限界近くを使った気がします。翌日はMICS-AVRでしたがこれはライブではなかったので、楽勝でした。ライブ手術は日本ではやったことがありますが、これはなかなか貴重な体験でした。貴重な機会を与えてくださったSchart先生に感謝。
さて、タイの心臓外科事情ですがまず心臓外科医は200名ちょっとしかいません。人口は日本の半分ほどです。小さなマーケットですので自国語の教科書というのは成立せず、大学教育も教科書もすべて英語だそうです。若い先生もみな上手に英語をしゃべります。実はこの事情は韓国、台湾、シンガポール、マレーシア アジアの日本以外の国でも同じです。自国語の教科書があり医学教育を受けられるのは日本ぐらいのものです。日本人にとっては利点でもあり、弱点ともいえます。