
22年9月にECSC Endoscopic Cardiac Surgeons Clubの発足集会に招待され、ギリシャのテッサロニキ市に行ってきました。ECSCはペリエ先生が会長で21年春に世界中の胸腔鏡下心臓手術を行っていて一定の論文発表のある医師に呼びかけがあり発足しました。コロナ禍でもありWebで会合を何度か行い、今回の発起集会はギリシャのPitsis先生が会長で行われました。日本からは今のところ、私と当院の細羽先生と所先生の3名が会員となっています。3Dプロジェクターを用いたペリエ先生のライブ僧帽弁形成手術、Pitsis先生の胸腔鏡下AVRライブが行われました。またこの分野の開拓者であるVanermen先生の特別講演は感動的でした。2000年頃先生が胸腔鏡下手術を始めた頃は多くの反響とともに批判も少なくなかった様です。当時のアナログ2D内視鏡で手術を行うのは困難を伴った事でしょう。しかしこの手術を開拓し、多くの弟子が現在ヨーロッパを中心に鏡視下手術を行い徐々に広まっていきました。Vanermen先生のチャレンジ精神はとどまるところを知らず、近年は実機のグライダー操縦もしているそうです。驚きのバイタリティです。近年3D内視鏡の登場が鏡視下手術の動きを加速させ、それまでは直視下MICS推進派であったイタリアのGlauber先生のグループも3D鏡視下に移行しこの会の中心的な運営を担っています。
私は完全鏡視下ダブル弁(大動脈と僧帽弁)手術の成績を発表し、3-port法の操作性の良さをアピールしました。この発表にVanermen先生から斬新で素晴らしいとお褒めをいただきました。先生が確立された方法とはだいぶ違うアプローチなのですが、チャレンジを認める柔軟な精神をお持ちなのだと思います。


