ブログ

中国から客人

IMG_3854

時々海外からもMICS見学の先生がいらっしゃいます。今までは、シカゴのマレイスリー先生、台湾の友人でもあるカンミンチュウ先生、タイの友人のスチャート先生、イタリアのマルコ・ソリナス先生などです。 昨年は躍進著しい中国から2名、福建省のシェ先生と北京のGao先生が内視鏡MICSの見学にいらっしゃいました。2日間で2件見ていただき、喜んでもらえた様です。中国のMICS事情は、まだごく一部しか普及しておらずGao先生(私の向かって左の若くてスマートな先生)の病院はフーアイ病院といって2016年には14000件の心臓手術があった中でMICSは数十例との事でした。まだまだ視野確保や出血のトラブルで困っている事があるとの事でした。政治的には微妙な関係の国ですが、医学はまた別の話。いろいろなコツを隠さずお伝えしました。一施設あたりの手術が多いのでちょっとしたノウハウを覚えればすぐに上達するでしょう。中国政府は国内産業の保護に力を入れていて、外国製MICS器具に多額の関税をかけているそうです。日本で定価40万程の持針器、鑷子が中国では100万円程であり、国内製の器具はまだまだ出来が悪いのが困りものと言っていましたがこれもすぐにキャッチアップするのではないでしょうか。 某大学が海外の富裕層のメディカルツーリズム需要を当て込んで施設整備をしたとちょっと前の新聞に載っていましたが、今朝の朝刊には逆に小児ALLの細胞免疫療法を受けるために名古屋大学から中国に渡航治療を受けたお子さんの記事が載っていました。日本は何をやるにも「許認可」に無駄に時間がかかりスピード感は皆無です。いつまでも日本の医療水準がアジア他国に優位を保てるとは思えません。私は、メディカルツーリズムは入るより、出る方が優位にならないかと思います。

EMI MICSトレーニングキット

私の出身県、長野県の佐久にあるEMIファクトリーは国内で唯一MICS用鋼製小物を作成しているメーカーです。ここの持針器、鑷子は私も手術で使っています。MICS導入にあたっては、限られた創からの操作に慣れる必要がありますがそれは必ずしも実際の手術である必要はありません。むしろ、どのような手術でもドライラボで出来る事は実際の手術を行う前に練習すべき時代となっています。EMIファクトリーがアマゾンで大変お得なMICSトレーニングセットを販売しています。先日ラボトレーニングの講師を務めた時、このキットのデモ器をEMI様より提供いただき実際に使ってみました。タブレットとカメラ、トレーニングボックスと縫合用ソフトバッドと持針器、鑷子ノットプッシャーのセットとなっています。Webにつないでデモンストレーション動画も表示させる事ができます。持針器、鑷子ともに練習用としては十分以上の出来映えであり、¥139,000という価格はおそらくメーカーさんには利益が無い価格です。若い先生で、これを見て「それなら病院で買ってもらおう」と思った人、残念ながら見込みがありません。自己投資にこの程度の物を自腹で買う金を惜しむ様では話になりません。

2017年夏 小倉記念病院へ

ステントグラフトのご指導に日赤に以前何度も来てくださった坂口(兄)先生が小倉記念のチーフとなりました。MICSを本格的に始めたいとの事で、1例はお手伝いに、もう一例は私が3D内視鏡を使った3-port 内視鏡MICSのデモンストレーションをしました。手術中の写真が無かったので、写真は夜の宴会にお邪魔した時のものです。ちょうど坂口先生の誕生日だったのでスタッフからサプライズのケーキが贈られました。小倉はスタッフも熱い。もともと手術が多い病院なので、きっとMICSもすぐに軌道に乗るでしょう。

Biomedicus 2-stage cannulaを使った内視鏡下ASD閉鎖

右房を開けるTAP、ASD、VSDの手術にBiomedicusの2-stageカニューレを今年から使っています。画像はASD手術ですが、右房をジャンプする部分のカニューレは手前に来るので視野の邪魔になりません。TAPなら全く邪魔にならない位置です。SVCへの追加脱血が要らないので、主創を1インチ、2.5cmまで縮小出来ました。これに加えてカメラポート(症例では3D内視鏡なので10mm)と、左手器具用の5mmポートを入れます。危ない頸静脈穿刺もBiomedicus ASD不要でfemoral vein1本脱血で右房が開けられます。脱血も今のところ全例(10例程ですが)良いので、このカニューレは使えると思います。

Atricureのクライオシステムも使える様になって、ようやくMICSを行う環境が日本でも整いつつありますが、大動脈基部カニューレすらMICS用の物が未だ無い等経済大国とは思えない後進国ぶりです。医療ツーリズム受け入れ等のんきな事を言っている場合ではなく、心臓外科に関してはアジアの中でも上位とは言えないのが現状です。基部カニューレに関しては、私が改良依頼中のものがあり、秋の胸部外科には間にあってほしいと思っています。

MICS見学ワンデイコースを開催しました

img_29751月某日、3D完全内視鏡下僧帽弁形成、三尖弁形成、メイズのMICS手術見学コースを開催しました。今回は新しいデバイスを2個使用。Atricureのクライオシステムと、Biomedicusの2-stage脱血管です。共に海外ではずっと前からMICS手術の標準デバイスであった物がようやく使える様になり随分手技が簡略化出来、丁度4時間で手術が終わりました。その後ブリーフセミナーを行った後の写真が上です。今回は大御所のお姿が。

Biomedicusの2-stage脱血カニューレ

biomedicus

今まで三尖弁輪形成したり、ASDのMICS手術で右心房を開ける場合SVCに直接1本脱血管を追加するか、右内頚静脈穿刺(当院ではやってません)のリスクをおかすしかありませんでした。近日中にメドトロニックから2-Stageカニューレが発売されます。サイズも15Frから29Frまで奇数サイズが揃っているので2か所脱血開口部の距離が右心房をまたぐのにちょうど良ければ1本脱血でこれら手術が出来る事になります。何例か使ってよさそうならまた追記します。

 

spec

VSD閉鎖は3cm切開のMICSで可能です

VSD、ASDは先天性心疾患治療が特定の小児病院に集中してきている現在、成人心臓手術の施設では手術の機会が少なくなってきています。一方、知る限り小児病院でMICSを行っている施設は新生児PDAなどを除き無いと思います。結果、小学生中学生の普通にMICS手術できる年齢のお子さんが正中切開で単なるASD閉鎖を受ける事になってしまっています。実に残念です。先日の外来では1年半前に内視鏡下MICSでVSD(ASDではなくてII型VSDです)閉鎖を行った中学生のお子さんの最終フォローの診察をしました。右側胸部に3cmの創がうっすらあるだけです。雑音は全くありませんでした。陸上部で活躍中と聞いてうれしくなりました。VSDやI型ASD(paritial AVSD)もMICSでパッチ閉鎖出来る事を小児循環器の先生にもっと知って頂ける様にします。(写真は完全内視鏡下ASDパッチ閉鎖)

MICS 533例

2010年10月から始めたMICSが16年末で533例になりました。僧帽弁形成/置換が最多で、AVRが続き左房粘液腫、ASD、VSDなどすべて含めて上記の数です。MICS用のクライオが発売されたり、来年早々脱血管も新しいものが出たりここにきてようやく環境が整ってきました。Sutureless弁も来年は発売されます。腋窩切開/側胸部切開AVRがさらに簡単になりそうです。今年も多くの患者さんに来院いただきました。しかし全国的にはまだ知らずに正中切開で僧帽弁やASD手術を受けられている方が大半なのは勿体ない事です。このサイトを充実させてより多くの方にMICSを知っていただきたいと思います。

内視鏡とルーペの見え方の違い

さて上の2枚の写真、リスの大きさが同じくらいになる様に撮りました。左の方がお猿さんがリスの真後ろに迫っているように見えますか? 実は2匹の位置関係は2枚の写真で全く同じです。変えたのはデジカメ(アイフォン)の焦点距離だけで、左は望遠右は広角で撮っています。カメラ好きの人には何を今更と言う話題ですが光学系でいうと左が外科医の使うルーペ(ちなみにドクターXみたいな鼻メガネではちゃんと見えませんよ)に相当し、右は内視鏡です。ルーペは肉眼より遠近感が圧縮され内視鏡は遠近感が強調されるのでルーペの見え方の感覚で内視鏡画面で物の大きさや奥行きを判断すると思わぬ間違いをします。img_2915これが上から見た実際の距離です。従来の内視鏡で距離がわかりにくかったもう一つの大きな理由は立体視出来なかった事もあります。3D内視鏡はこの点で有利で、もはや直視で僧帽弁MICSをする理由は無くなったと感じます。

弓部置換のウェットラボ

img_2945エチコンさん主催の弓部置換のウェットラボのお手伝いをしました。荻野先生がコースディレクターです。ラボのセッティングは事前にエチコンさんと打ち合わせして、箱の底に下行大動脈を固定するようにしたところ割と本物ぽい雰囲気になりました。動脈瘤手術はどんどんステントグラフトに押されて減ってますが、ステントで治るなら患者さんにとっては良い事です。日赤もステント治療は数年前まで正直全国レベルから遅れを取っていました。3年前から自転車仲間の坂口(兄)先生に指導して頂き、澤木医師がステント実施医指導医を取り今では県内有数の治療実績となり弱点を克服出来ました。

しかし動脈瘤手術もキッチリ技術を伝えて行かなければなりません。いつもウェットラボをすると私達はやりっぱなしで帰ってしまいますが、準備と片付けをして下さる社員の方々には感謝です。