右房を開けるTAP、ASD、VSDの手術にBiomedicusの2-stageカニューレを今年から使っています。画像はASD手術ですが、右房をジャンプする部分のカニューレは手前に来るので視野の邪魔になりません。TAPなら全く邪魔にならない位置です。SVCへの追加脱血が要らないので、主創を1インチ、2.5cmまで縮小出来ました。これに加えてカメラポート(症例では3D内視鏡なので10mm)と、左手器具用の5mmポートを入れます。危ない頸静脈穿刺も
不要でfemoral vein1本脱血で右房が開けられます。脱血も今のところ全例(10例程ですが)良いので、このカニューレは使えると思います。
Atricureのクライオシステムも使える様になって、ようやくMICSを行う環境が日本でも整いつつありますが、大動脈基部カニューレすらMICS用の物が未だ無い等経済大国とは思えない後進国ぶりです。医療ツーリズム受け入れ等のんきな事を言っている場合ではなく、心臓外科に関してはアジアの中でも上位とは言えないのが現状です。基部カニューレに関しては、私が改良依頼中のものがあり、秋の胸部外科には間にあってほしいと思っています。
1月某日、3D完全内視鏡下僧帽弁形成、三尖弁形成、メイズのMICS手術見学コースを開催しました。今回は新しいデバイスを2個使用。Atricureのクライオシステムと、Biomedicusの2-stage脱血管です。共に海外ではずっと前からMICS手術の標準デバイスであった物がようやく使える様になり随分手技が簡略化出来、丁度4時間で手術が終わりました。その後ブリーフセミナーを行った後の写真が上です。今回は大御所のお姿が。

これが上から見た実際の距離です。従来の内視鏡で距離がわかりにくかったもう一つの大きな理由は立体視出来なかった事もあります。3D内視鏡はこの点で有利で、もはや直視で僧帽弁MICSをする理由は無くなったと感じます。
エチコンさん主催の弓部置換のウェットラボのお手伝いをしました。荻野先生がコースディレクターです。ラボのセッティングは事前にエチコンさんと打ち合わせして、箱の底に下行大動脈を固定するようにしたところ割と本物ぽい雰囲気になりました。動脈瘤手術はどんどんステントグラフトに押されて減ってますが、ステントで治るなら患者さんにとっては良い事です。日赤もステント治療は数年前まで正直全国レベルから遅れを取っていました。3年前から自転車仲間の坂口(兄)先生に指導して頂き、澤木医師がステント実施医指導医を取り今では県内有数の治療実績となり弱点を克服出来ました。

