欧州胸部外科学会EACTSのオンランインビデオジャーナルのMMCTS、The Multimedea Manual of Cardio-Thoracic Surgeryに肥大型心筋症(HOCM)の完全胸腔鏡下心筋切除のビデオが掲載されました。僧帽弁前尖を縦切りにして視野確保する方法です。https://mmcts.org/tutorial/1916
HOCM治療には手術による心筋切除がClass I推奨されていますが通常は胸骨正中切開、経大動脈弁アプローチが標準手術法とされています。一方MICSで経僧帽弁的に切除する事も近年報告がありますが僧帽弁前尖を一度弁輪から切り離して視野確保する方法が主流でした。しかし僧帽弁前尖の弁輪~ヒンジ部分は弁開閉に伴い大きく曲がる部分なのでここに縫合線が来ると縫合線の破綻が生じるリスクが高い事、またしばしば必要となる自己心膜補填もパッチの硬化、断裂のリスクがありました。本来的に弁膜症ではないHOCMに対して新たに弁の問題を付加してしまうのは問題があり縦切りする事により弁への影響を最小限に出来ると考えています。すでに2014年から行っており長期的にもおそらく問題は少ない様に思いますが症例数が少ないためまだ断定的な事を言える程のエビデンスはありません。