EMIさんのドライラボキット

先日書いたEMIさんのドライラボトレーニングキットを借りています。自分では今更練習は要りませんが、先日勧めたからには使い勝手を知っておくべきと思いました。 なんといっても右の写真の様に、持針器鑷子とノットプッシャーが付いているのが驚くべき事です。私などは数年前にマイ持針器とマイ鑷子その他50万円ぐらいかけて買ってしまいました。実際の手術用の持針器と比べると使用材料のグレードを落とすなどしてコストダウンしているとの事でしたが、NC加工機にいれるデータはわざわざ別に起こすとさらにコストがかかるので多分部品の形は製品版と変わらないようです。実際に使っても、ガタもなく硬すぎず全く普通に使えます。タブレットではWIFI通信で西先生のデモンストレーション動画が見られます。これ見て練習するとよいでしょう。鏡視下MICSの練習も十分できました。付属カメラは若干100msec程度の画像の遅延がありますが、よほど操作のスピードが速い人以外は大丈夫のはずです。左写真の様に鑷子は主孔の隣のポートに入れると使いやすい。ここでひとつ長いMICS器具を使いこなすヒントをお伝えします。左写真で持針器の軸を創縁に当てています。私は操作中、必ず軸を創縁にコンタクトさせた状態で運針します。この方法を意識して行うと道具が格段に安定します。

中国から客人

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時々海外からもMICS見学の先生がいらっしゃいます。今までは、シカゴのマレイスリー先生、台湾の友人でもあるカンミンチュウ先生、タイの友人のスチャート先生、イタリアのマルコ・ソリナス先生などです。 昨年は躍進著しい中国から2名、福建省のシェ先生と北京のGao先生が内視鏡MICSの見学にいらっしゃいました。2日間で2件見ていただき、喜んでもらえた様です。中国のMICS事情は、まだごく一部しか普及しておらずGao先生(私の向かって左の若くてスマートな先生)の病院はフーアイ病院といって2016年には14000件の心臓手術があった中でMICSは数十例との事でした。まだまだ視野確保や出血のトラブルで困っている事があるとの事でした。政治的には微妙な関係の国ですが、医学はまた別の話。いろいろなコツを隠さずお伝えしました。一施設あたりの手術が多いのでちょっとしたノウハウを覚えればすぐに上達するでしょう。中国政府は国内産業の保護に力を入れていて、外国製MICS器具に多額の関税をかけているそうです。日本で定価40万程の持針器、鑷子が中国では100万円程であり、国内製の器具はまだまだ出来が悪いのが困りものと言っていましたがこれもすぐにキャッチアップするのではないでしょうか。 某大学が海外の富裕層のメディカルツーリズム需要を当て込んで施設整備をしたとちょっと前の新聞に載っていましたが、今朝の朝刊には逆に小児ALLの細胞免疫療法を受けるために名古屋大学から中国に渡航治療を受けたお子さんの記事が載っていました。日本は何をやるにも「許認可」に無駄に時間がかかりスピード感は皆無です。いつまでも日本の医療水準がアジア他国に優位を保てるとは思えません。私は、メディカルツーリズムは入るより、出る方が優位にならないかと思います。

Biomedicus 2-stage cannulaを使った内視鏡下ASD閉鎖

右房を開けるTAP、ASD、VSDの手術にBiomedicusの2-stageカニューレを今年から使っています。画像はASD手術ですが、右房をジャンプする部分のカニューレは手前に来るので視野の邪魔になりません。TAPなら全く邪魔にならない位置です。SVCへの追加脱血が要らないので、主創を1インチ、2.5cmまで縮小出来ました。これに加えてカメラポート(症例では3D内視鏡なので10mm)と、左手器具用の5mmポートを入れます。危ない頸静脈穿刺もBiomedicus ASD不要でfemoral vein1本脱血で右房が開けられます。脱血も今のところ全例(10例程ですが)良いので、このカニューレは使えると思います。

Atricureのクライオシステムも使える様になって、ようやくMICSを行う環境が日本でも整いつつありますが、大動脈基部カニューレすらMICS用の物が未だ無い等経済大国とは思えない後進国ぶりです。医療ツーリズム受け入れ等のんきな事を言っている場合ではなく、心臓外科に関してはアジアの中でも上位とは言えないのが現状です。基部カニューレに関しては、私が改良依頼中のものがあり、秋の胸部外科には間にあってほしいと思っています。