2017年夏 小倉記念病院へ

ステントグラフトのご指導に日赤に以前何度も来てくださった坂口(兄)先生が小倉記念のチーフとなりました。MICSを本格的に始めたいとの事で、1例はお手伝いに、もう一例は私が3D内視鏡を使った3-port 内視鏡MICSのデモンストレーションをしました。手術中の写真が無かったので、写真は夜の宴会にお邪魔した時のものです。ちょうど坂口先生の誕生日だったのでスタッフからサプライズのケーキが贈られました。小倉はスタッフも熱い。もともと手術が多い病院なので、きっとMICSもすぐに軌道に乗るでしょう。

MICS見学ワンデイコースを開催しました

img_29751月某日、3D完全内視鏡下僧帽弁形成、三尖弁形成、メイズのMICS手術見学コースを開催しました。今回は新しいデバイスを2個使用。Atricureのクライオシステムと、Biomedicusの2-stage脱血管です。共に海外ではずっと前からMICS手術の標準デバイスであった物がようやく使える様になり随分手技が簡略化出来、丁度4時間で手術が終わりました。その後ブリーフセミナーを行った後の写真が上です。今回は大御所のお姿が。

Biomedicusの2-stage脱血カニューレ

biomedicus

今まで三尖弁輪形成したり、ASDのMICS手術で右心房を開ける場合SVCに直接1本脱血管を追加するか、右内頚静脈穿刺(当院ではやってません)のリスクをおかすしかありませんでした。近日中にメドトロニックから2-Stageカニューレが発売されます。サイズも15Frから29Frまで奇数サイズが揃っているので2か所脱血開口部の距離が右心房をまたぐのにちょうど良ければ1本脱血でこれら手術が出来る事になります。何例か使ってよさそうならまた追記します。

 

spec

VSD閉鎖は3cm切開のMICSで可能です

VSD、ASDは先天性心疾患治療が特定の小児病院に集中してきている現在、成人心臓手術の施設では手術の機会が少なくなってきています。一方、知る限り小児病院でMICSを行っている施設は新生児PDAなどを除き無いと思います。結果、小学生中学生の普通にMICS手術できる年齢のお子さんが正中切開で単なるASD閉鎖を受ける事になってしまっています。実に残念です。先日の外来では1年半前に内視鏡下MICSでVSD(ASDではなくてII型VSDです)閉鎖を行った中学生のお子さんの最終フォローの診察をしました。右側胸部に3cmの創がうっすらあるだけです。雑音は全くありませんでした。陸上部で活躍中と聞いてうれしくなりました。VSDやI型ASD(paritial AVSD)もMICSでパッチ閉鎖出来る事を小児循環器の先生にもっと知って頂ける様にします。(写真は完全内視鏡下ASDパッチ閉鎖)

MICS 533例

2010年10月から始めたMICSが16年末で533例になりました。僧帽弁形成/置換が最多で、AVRが続き左房粘液腫、ASD、VSDなどすべて含めて上記の数です。MICS用のクライオが発売されたり、来年早々脱血管も新しいものが出たりここにきてようやく環境が整ってきました。Sutureless弁も来年は発売されます。腋窩切開/側胸部切開AVRがさらに簡単になりそうです。今年も多くの患者さんに来院いただきました。しかし全国的にはまだ知らずに正中切開で僧帽弁やASD手術を受けられている方が大半なのは勿体ない事です。このサイトを充実させてより多くの方にMICSを知っていただきたいと思います。

内視鏡とルーペの見え方の違い

さて上の2枚の写真、リスの大きさが同じくらいになる様に撮りました。左の方がお猿さんがリスの真後ろに迫っているように見えますか? 実は2匹の位置関係は2枚の写真で全く同じです。変えたのはデジカメ(アイフォン)の焦点距離だけで、左は望遠右は広角で撮っています。カメラ好きの人には何を今更と言う話題ですが光学系でいうと左が外科医の使うルーペ(ちなみにドクターXみたいな鼻メガネではちゃんと見えませんよ)に相当し、右は内視鏡です。ルーペは肉眼より遠近感が圧縮され内視鏡は遠近感が強調されるのでルーペの見え方の感覚で内視鏡画面で物の大きさや奥行きを判断すると思わぬ間違いをします。img_2915これが上から見た実際の距離です。従来の内視鏡で距離がわかりにくかったもう一つの大きな理由は立体視出来なかった事もあります。3D内視鏡はこの点で有利で、もはや直視で僧帽弁MICSをする理由は無くなったと感じます。

弓部置換のウェットラボ

img_2945エチコンさん主催の弓部置換のウェットラボのお手伝いをしました。荻野先生がコースディレクターです。ラボのセッティングは事前にエチコンさんと打ち合わせして、箱の底に下行大動脈を固定するようにしたところ割と本物ぽい雰囲気になりました。動脈瘤手術はどんどんステントグラフトに押されて減ってますが、ステントで治るなら患者さんにとっては良い事です。日赤もステント治療は数年前まで正直全国レベルから遅れを取っていました。3年前から自転車仲間の坂口(兄)先生に指導して頂き、澤木医師がステント実施医指導医を取り今では県内有数の治療実績となり弱点を克服出来ました。

しかし動脈瘤手術もキッチリ技術を伝えて行かなければなりません。いつもウェットラボをすると私達はやりっぱなしで帰ってしまいますが、準備と片付けをして下さる社員の方々には感謝です。

大怪我からの回復

私事ですが7月に淡路島でロードバイク乗っていてよそ見して川に落ち、多発骨折しました。死んでもおかしくない怪我でしたが淡路医療センター、神戸日赤、兵庫県災害医療センターで的確な治療が受けられその後の自院でのリハビリも進み10月から元どおり仕事復帰出来ました。12月に3病院にお礼と復帰の報告をして来ました。もう手術やってると言ったら随分驚かれました。阪神淡路の震災を機に兵庫県の救急は充実したらしいです。今回の救急医療は別に自分が医者だから特別扱いされた訳ではなく、このような医療が恒常的に行われていることに価値があると思います。医療は社会の財産です。素晴らしい先生方がコンビニ受診などで疲弊する事が無いよう願います。

休みの間患者さんには迷惑をおかけし申し訳ありませんでした。

タイ Ramathibodi hospitalでのライブ手術

2016年6月にタイのSchart先生の招きで、MICSの講演と翌日内視鏡下僧帽弁形成のライブ手術をしました。3Dプロジェクターを会場にカールストルツ代理店の方が準備して下さり、世界初?3D内視鏡ライブ手術が実現しました。患者さんは20代の女性で感染性心内膜炎後でした。前尖の半分の腱索が消失しており、ゴアテックス人工腱索を3本再建してリングを付けるという普通の形成で上手くいきました。しかし、会場と英語でやりとりしながら慣れない環境でする手術はだいぶ堪えました。殆ど、能力の限界近くを使った気がします。翌日はMICS-AVRでしたがこれはライブではなかったので、楽勝でした。ライブ手術は日本ではやったことがありますが、これはなかなか貴重な体験でした。貴重な機会を与えてくださったSchart先生に感謝。img_2943

さて、タイの心臓外科事情ですがまず心臓外科医は200名ちょっとしかいません。人口は日本の半分ほどです。小さなマーケットですので自国語の教科書というのは成立せず、大学教育も教科書もすべて英語だそうです。若い先生もみな上手に英語をしゃべります。実はこの事情は韓国、台湾、シンガポール、マレーシア アジアの日本以外の国でも同じです。自国語の教科書があり医学教育を受けられるのは日本ぐらいのものです。日本人にとっては利点でもあり、弱点ともいえます。

 

6月の胸部外科学会関東甲信越地方会で講演

今年を振り返るシリーズ。

6月には医科歯科の荒井教授にお招き頂き、MICSの講演をしました。東京は歴史と先端施設が入り混じり、名古屋とは都市としての厚みが違います。上野の鷗外荘、森鴎外のかつての居処で文壇処女作の「舞姫」がここで書かれたそうです。私以外は錚々たる教授の面々です。img_2417