MICSとダビンチも保険収載

ダビンチを使った僧帽弁形成が4月から保険適応となると報道されました。ダビンチ手術が保険適応となるからには、そのbaseとなる鏡視下手術があるのが当然なので胸腔鏡下僧帽弁形成も同時に保険収載される様です。従来僧帽弁形成手術はK-554、79860点ですが鏡視下MICSが何点になるのかは2月末頃にははっきりすると思います。 ここで、いつもの愚痴が出るわけですが現在日本で認可された順行性心筋保護注入用カニューレの中で、MICSでも間違いなく届く長さの物はひとつもありません。私がJ-MICSの新規デバイス委員長として某社に改良を依頼(改良と言っても途中の管の長さを4cm伸ばすだけ)している製品があり、工場の生産体制は完全に整っているのに1年半経ってもまだ認可が下りません。現在は届きにくいカニューレを指先でつまんで指が攣りそうになりながら使っている訳ですが、明らかに必要な器具を認可せずに術式だけ認可するのも整合性の無い話です。3月末までには認可されてほしい。でも、MICS加算認定の判断には厚労省に拍手。

もう一つ、点数が加算されるからと十分な準備無しにMICSやダビンチを始める事が無い様にしてほしいものです。J-MICSでは今後も定期的にドライラボ、ウェットラボを行っていきますので、これらに参加したりプロクターを最初の数例は呼んだりして安全に留意して始めてほしいと思います(J-MICS理事としてではなく、個人としての見解です)。

EMI MICSトレーニングキット

私の出身県、長野県の佐久にあるEMIファクトリーは国内で唯一MICS用鋼製小物を作成しているメーカーです。ここの持針器、鑷子は私も手術で使っています。MICS導入にあたっては、限られた創からの操作に慣れる必要がありますがそれは必ずしも実際の手術である必要はありません。むしろ、どのような手術でもドライラボで出来る事は実際の手術を行う前に練習すべき時代となっています。EMIファクトリーがアマゾンで大変お得なMICSトレーニングセットを販売しています。先日ラボトレーニングの講師を務めた時、このキットのデモ器をEMI様より提供いただき実際に使ってみました。タブレットとカメラ、トレーニングボックスと縫合用ソフトバッドと持針器、鑷子のセットとなっています。Webにつないでデモンストレーション動画も表示させる事ができます。持針器、鑷子ともに練習用としては十分以上の出来映えであり、¥139,000という価格はおそらくメーカーさんには利益が無い価格です。若い先生で、これを見て「それなら病院で買ってもらおう」と思った人、残念ながら見込みがありません。自己投資にこの程度の物を自腹で買う金を惜しむ様では話になりません。

2017年夏 小倉記念病院へ

ステントグラフトのご指導に日赤に以前何度も来てくださった坂口(兄)先生が小倉記念のチーフとなりました。MICSを本格的に始めたいとの事で、1例はお手伝いに、もう一例は私が3D内視鏡を使った3-port 内視鏡MICSのデモンストレーションをしました。手術中の写真が無かったので、写真は夜の宴会にお邪魔した時のものです。ちょうど坂口先生の誕生日だったのでスタッフからサプライズのケーキが贈られました。小倉はスタッフも熱い。もともと手術が多い病院なので、きっとMICSもすぐに軌道に乗るでしょう。

MICS見学ワンデイコースを開催しました

img_29751月某日、3D完全内視鏡下僧帽弁形成、三尖弁形成、メイズのMICS手術見学コースを開催しました。今回は新しいデバイスを2個使用。Atricureのクライオシステムと、Biomedicusの2-stage脱血管です。共に海外ではずっと前からMICS手術の標準デバイスであった物がようやく使える様になり随分手技が簡略化出来、丁度4時間で手術が終わりました。その後ブリーフセミナーを行った後の写真が上です。今回は大御所のお姿が。

Biomedicusの2-stage脱血カニューレ

biomedicus

今まで三尖弁輪形成したり、ASDのMICS手術で右心房を開ける場合SVCに直接1本脱血管を追加するか、右内頚静脈穿刺(当院ではやってません)のリスクをおかすしかありませんでした。近日中にメドトロニックから2-Stageカニューレが発売されます。サイズも15Frから29Frまで奇数サイズが揃っているので2か所脱血開口部の距離が右心房をまたぐのにちょうど良ければ1本脱血でこれら手術が出来る事になります。何例か使ってよさそうならまた追記します。

 

spec

VSD閉鎖は3cm切開のMICSで可能です

VSD、ASDは先天性心疾患治療が特定の小児病院に集中してきている現在、成人心臓手術の施設では手術の機会が少なくなってきています。一方、知る限り小児病院でMICSを行っている施設は新生児PDAなどを除き無いと思います。結果、小学生中学生の普通にMICS手術できる年齢のお子さんが正中切開で単なるASD閉鎖を受ける事になってしまっています。実に残念です。先日の外来では1年半前に内視鏡下MICSでVSD(ASDではなくてII型VSDです)閉鎖を行った中学生のお子さんの最終フォローの診察をしました。右側胸部に3cmの創がうっすらあるだけです。雑音は全くありませんでした。陸上部で活躍中と聞いてうれしくなりました。VSDやI型ASD(paritial AVSD)もMICSでパッチ閉鎖出来る事を小児循環器の先生にもっと知って頂ける様にします。(写真は完全内視鏡下ASDパッチ閉鎖)

MICS 533例

2010年10月から始めたMICSが16年末で533例になりました。僧帽弁形成/置換が最多で、AVRが続き左房粘液腫、ASD、VSDなどすべて含めて上記の数です。MICS用のクライオが発売されたり、来年早々脱血管も新しいものが出たりここにきてようやく環境が整ってきました。Sutureless弁も来年は発売されます。腋窩切開/側胸部切開AVRがさらに簡単になりそうです。今年も多くの患者さんに来院いただきました。しかし全国的にはまだ知らずに正中切開で僧帽弁やASD手術を受けられている方が大半なのは勿体ない事です。このサイトを充実させてより多くの方にMICSを知っていただきたいと思います。

内視鏡とルーペの見え方の違い

さて上の2枚の写真、リスの大きさが同じくらいになる様に撮りました。左の方がお猿さんがリスの真後ろに迫っているように見えますか? 実は2匹の位置関係は2枚の写真で全く同じです。変えたのはデジカメ(アイフォン)の焦点距離だけで、左は望遠右は広角で撮っています。カメラ好きの人には何を今更と言う話題ですが光学系でいうと左が外科医の使うルーペ(ちなみにドクターXみたいな鼻メガネではちゃんと見えませんよ)に相当し、右は内視鏡です。ルーペは肉眼より遠近感が圧縮され内視鏡は遠近感が強調されるのでルーペの見え方の感覚で内視鏡画面で物の大きさや奥行きを判断すると思わぬ間違いをします。img_2915これが上から見た実際の距離です。従来の内視鏡で距離がわかりにくかったもう一つの大きな理由は立体視出来なかった事もあります。3D内視鏡はこの点で有利で、もはや直視で僧帽弁MICSをする理由は無くなったと感じます。

弓部置換のウェットラボ

img_2945エチコンさん主催の弓部置換のウェットラボのお手伝いをしました。荻野先生がコースディレクターです。ラボのセッティングは事前にエチコンさんと打ち合わせして、箱の底に下行大動脈を固定するようにしたところ割と本物ぽい雰囲気になりました。動脈瘤手術はどんどんステントグラフトに押されて減ってますが、ステントで治るなら患者さんにとっては良い事です。日赤もステント治療は数年前まで正直全国レベルから遅れを取っていました。3年前から自転車仲間の坂口(兄)先生に指導して頂き、澤木医師がステント実施医指導医を取り今では県内有数の治療実績となり弱点を克服出来ました。

しかし動脈瘤手術もキッチリ技術を伝えて行かなければなりません。いつもウェットラボをすると私達はやりっぱなしで帰ってしまいますが、準備と片付けをして下さる社員の方々には感謝です。

大怪我からの回復

私事ですが7月に淡路島でロードバイク乗っていてよそ見して川に落ち、多発骨折しました。死んでもおかしくない怪我でしたが淡路医療センター、神戸日赤、兵庫県災害医療センターで的確な治療が受けられその後の自院でのリハビリも進み10月から元どおり仕事復帰出来ました。12月に3病院にお礼と復帰の報告をして来ました。もう手術やってると言ったら随分驚かれました。阪神淡路の震災を機に兵庫県の救急は充実したらしいです。今回の救急医療は別に自分が医者だから特別扱いされた訳ではなく、このような医療が恒常的に行われていることに価値があると思います。医療は社会の財産です。素晴らしい先生方がコンビニ受診などで疲弊する事が無いよう願います。

休みの間患者さんには迷惑をおかけし申し訳ありませんでした。